No.64 2002.1
もくじ
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●●●ADCA活動記録●●●
●●●新技術紹介●●●
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ADCA活動記録
<プロジェクト・ファインディング実施状況 平成13年10〜12月>
カンボディア コルマタージュ水路沿いの野菜生産支援のためのポンティデックセンター整備、拡充計画
ミャンマー ラカイン州農業水・土地資源総合開発計画
ミャンマー 中央乾燥地域農業総合開発計画
ミャンマー シッタン川流域灌漑用水管理マスタープラン調査
タンザニア ザンジバル農業・灌漑開発計画
エチオピア オロミア州農業セクター開発マスタープラン
ヴェトナム 北部山岳地域農業農村インフラ・生活環境改善計画
ジンバブエ チデゥク-チワレ灌漑開発計画
タイ 中部タイ西部地域地方経済振興のための農村開発促進計画
パナマ 中西部地域貧困緩和荒廃地回復持続的農業開発計画
インド サコマイ灌漑計画
インド ブルタン灌漑計画
インド チュリガダ・ダム計画
インド タサール野蚕ベルト農村地域貧困削減・村落共同体開発計画
インド ハセド・バンゴ灌漑計画


<講演会/研修>

平成13年度第2回技術者研修(報告)
−PCM研修(モニタリング・評価)−

 本年度第2回のPCM研修のモニタリングおよび評価編が10月2日(火)から5日(金)までの4日間、農業土木会館会議室にて行われました。今回の参加者は16名でしたが申し込み時には多数参加申し込みがあり、研修の効果的且つ効率的観点から参加者数を16名に絞り実施しました。参加できなかった方には次回のチャンスを狙って頂きたいと考えています。
当日のモデレーターは、昨年来PCM研修(計画)を担当して頂いている石田洋子氏(?コーエイ総合研究所)にお願いしました。又、2組に分けて実施するためもう1人のモデレーターとして塩畑真理子氏(?コーエイ総合研究所)に協力をお願いいたしました。今回の研修ではプロジェクトの管理というものが評価の前提になることから、ISOのプロジェクト管理に則り、プロジェクト管理を的確に把握し、計画的実施を確保するための分析手法を身につけたうえで事業のモニタリングに備えることの大切さを研修の重点項目の1つとしました。このようなプロジェクトの計画管理に関する講師として、花田重義氏((有)国際マネジメントシステム研究所)にお願いしました。花田氏の講義の後、PCM手法の概要、参加者分析、問題分析、目的分析、PDMの作成等計画編でおなじみとは言え評価においても基本となる事柄であることから、これらについて復習し、モデレーターの指導の下に本題の評価についてグループ作業が熱心に行われました。
ADCA作成のテキストとこれまでに評価が進められた農業農村開発プロジェクトを参考事例としてモデレータが入念に準備した資料を使いながら研修が行われたことと、参加者のほとんどが農業関係プロジェクトの経験が豊富であったことから、参加者の意欲的な発言を通じて活発な意見交換が行われ今回の研修の成果が十分にあがったと考えられます。
今後ともこの重要なPCM研修を続けていく予定ですので会員の方々は経験の有無にかかわらずふるって参加されるようお願いします。


新技術紹介
「組織強化手法」紹介
ID/OS, Institutional Development and Organizational Strengthening

アイ・シー・ネット株式会社 企画グループ

<背景>
 開発援助プロジェクトの中には、大きな成果を収めたにもかかわらず、プロジェクトが終了してドナー側の団員が去った後、自立発展性がなく、結果的に開発効果が途絶えてしまったというケースも見受けられます。そのような状況に対して、プロジェクトの自立発展性をより高めるために、カウンターパート側の組織能力の分析と、それに基づく組織強化の重要性に対する認識が広まってきています。
 「組織強化(ID/OS)手法」は、強化する対象組織の内部とともに、組織の周辺環境や関連組織とのネットワークを分析し、その能カや自立発展性を更に向上させるための手法です。「組織強化(ID/OS)手法」はオランダの民間コンサルティング企業であるMDF社(Management for Development Foundation)により開発されました。日本ではまだ馴染みが薄いですが、既にヨーロッパでは援助機関やNGOを中心に活用されており、その有用性は高く評価されています。

「組織強化手法」考え方と特徴
 「組織強化手法」では、まず始めに外部環境の分析を行ない、組織の活動を支える投入と成果に影響を与える要因を特定します。その後で組織内部を様々な角度から分析した結果を加え、組織強化のための戦略オプションを決定します。

これら一連の分析プロセスは固定的なものではなく、様々なツールを状況に応じて柔軟に選択したり、他の手法(PCM:プロジェクト・サイクル・マネジメントやRRA:簡易農村調査手法など)のツールと組み合わせて使うこともできます。また、「組織強化手法」による組織分析は参加型のワークショップによって行われ、比較的短期間(1〜2日)で精度高く組織の状況を把握できるのも大きな特徴であると言えます。

分析の流れ

「組織強化手法」では、対象組織を「外部環境」と「内部要素」という二つの形態に分けて分析します。これら2つの分析形態を組み合わせて、より良いプロジェクトが行なえるように、組織やネットワークを改善する計画を立てることができます。基本的なフレームワークは以下の通りに示すことができます。

「組織強化手法」ワークショップではまず、ベーシック・クエスチョンを設定します。そのことにより、対象組織が直面している問題の論点が絞り込まれ、ワークショップの意図が明確になります。

ステップ1: 外部環境分析

「組織強化手法」の大きな特徴として、対象組織を取り巻く外部の組織・制度に、まず分析の目を向けることが挙げられます。外部環境を分析するには、まず分析対象組織と外部の組織との関係を見ます。この関係を図式化したものが「組織関係図(Institutiogramme)」です。

「組織環境分析図(Environmenta1 Scan)」では、外部環境から受ける影響要因を特定し、良い影響『機会』と悪い影響『脅威』に分類します。またこれらの要因が分析対象組織にとって影響があるものなのかどうかを分析します。ここで得られた『機会』を有効に活用するか、もしくは『脅威』に的確に対処することによって、具体的な組織強化戦略を提案します。

ステップ2: 組織内部分析

組織内部分析では組織に内在する『強み』『弱み』を見出します。これらの『強み』『弱み』は「統合型組織モデル(IOM; Integrated Organizational Model)」によって、右図のように分類され視覚化されます。本モデルは分析対象組織の中で全く違う要素の相互関連を示すことのできる包括的な組織概念図であるといえます。これによって、組織が変革する能力があるのかどうか、また変革する意思があるのかどうかを分析することができます。

ステップ3:戦略策定

組織内部の分析によって得られた『強み』『弱み』は、外部環境分析から抽出された戦略オプションを選定するための基準となります。ここでは、「SORマトリックス(Strategic Orientation Matrix)」を用いて、ワークショップ参加者は内部の『強み』『弱み』が戦賂オプションに与える影響の度合いを投票によって決めます。左図を例にとると、オプション1は多くの強みを活かすことはできるが、弱みを克服するためにも多くのエネルギーを費やさなければなりません。一方オプション4は多くの強みを活かしながら、克服すべき弱みも少ないためもっとも実行しやすいオプションであるということが言えます。このようにして得られた戦路オプションはPDMに引き継いで組織強化戦路を実行するための計画を策定することもできます。

当社の「組織強化(ID/OS)手法」活用経験

当社は数年前から「組織強化(ID/OS)手法」に注目し、すでに何人かのコンサルタントは開発援助案件の現場で応用しています。その活用経験の一部を紹介したいと思います。

海外ODA案件

案件名 内容 ワークショップの目的

(トピック)

利用手法・所要時間・参加者
中国職業訓練

プロジェクト

終了時評価 プロジェクト終了後の自立的発展性のた

めに天津市師範学院が行うべき活動は何か。

分析・強化W/S 9時〜5時(5時間)

参加者:校長・教頭を除く一般教員15名

内容:参加者が出したカードをまとめてプラン化

マレーシア

労働災害防止

事前調査 政府から独立法人化を迫られているなか、

中小企業に対する労働災害防止に効果

をあげるためにNIOSHにはどのような組

織強化が必要か

分析・強化W/S 9時〜3時(4時間)

参加者:NIOSHスタッフ15名

PCM W/S (目的分析→PDM):2日間

参加者:Stakeholder 35名

内容:分析W/Sの結果を目的カードに。

ベトナム建設機械

プロジェクト

事前調査 調査団によるBa Vi専門学校の組織理解 分析W/S:9時〜3時(3時間)

参加者:学校教員、生徒代表

内容:SOR, Mintzbergモデル, Organodiagram, 就業カレンダー

ブラジル東北ブラジル

公衆衛生プロジェクト

終了時評価 プロジェクト終了後の実施機関(ペルナン

ブコ州立大学)の組織強化

W/S:半日

参加者:現地側プロジェクトマネージャー, 大学教官、学生、日本人専門家

内容:SOR

タイ・パトムアン工業

高校専門学校

プロジェクト

終了時評価 プロジェクト終了後の実施機関(パトムアン

工業高等専門学校メカトロニクス学科)

の組織強化

W/S:半日

参加者:学科長, 学校教員、日本人専門家

内容:SOR

タイ工業用水技術

研究所終了時評価

調査

終了時評価 第1フェーズ終了にあたって、第2フェーズ

に向けての業務計画の戦略構築への手助け

とする。

W/S:9時半〜3時半(4時間くらい)

参加者:プロジェクトカウンターパート、一部専門家

内容:IOM、SOR

さらに、当社はこの「組織強化(ID/OS)手法」を活用して、日本国内の事業体に対しても、コンサルテーションを開始しました。最後にその事例の一端を以下のとおりご紹介致します。

客先
ワークショップの目的(トピック)
利用方法、所要時間、参加者
標津漁業協同組合 組合職員対象の組織力強化へのコンサルテーション 分析:2日間(延べ10時間)

参加者:組合職員

内容:IOM、SOR


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