No.66 2002.7
もくじ
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●●●ADCA活動記録●●●
●●●青年会議だより●●●
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ADCA活動記録
<プロジェクト・ファインディング実施状況 平成14年4〜6月>
1
インドネシア
トバ湖流域農業総合整備開発計画
2 インドネシア 環境調和型低地農業総合整備強化調査
3 ミャンマー モンヤ県持続型地下水灌漑農業開発計画
4 ブラジル ベンデグランデ川流域農業総合開発計画
5 ブラジル テレジーナ周辺農村地域貧困緩和環境改善計画
6 ブラジル パラ州東北部地域荒廃地回復計画
7 イラン カラトダム流域農業開発計画
8 フィリピン タゴ川灌漑システム機能強化計画
9 ラオス 水利組合育成強化開発計画
10 ラオス 米種子生産基盤整備計画
11 フィリピン バダオデルオルテ州リブガノン地区農地穂算事業計画
12 ペルー ツンベス河流域環境保全型農牧業開発計画
13 エクアドル プヤンゴ河流域保全型農林業振興計画
14 ベトナム 中部地域農村貧困撲滅及び生活環境改善計画


<講演会/研修>

平成14年度第一回初級技術者研修(PCM手法・計画立案コース)

本年度の第一回初級技術者研修として平成14年6月10日より4日間、(株)国際マネジメントシステム研究所の花田重義さんにモデレータを、(株)コーエイ総合研究所の鶴井視記子さんに副モデレータをお願いして「PCM手法 計画立案研修」を実施いたしました。ADCA正会員および賛助会員各社より合計16名が研修に参加し、事例を用いた演習を通じて、特に海外の農業開発案件に関する関係者分析からPDM作成に至るまでのPCM手法の一連の流れの修得に努めました。演習は2つのグループで行われ、PCMワークショップを通じて行われる合意形成のプロセスと合意形成過程におけるモデレータの役割・技術を、身をもって体験することができるよい機会となりました。研修は前年に比べ一日長く4日間で行いましたが、欠席者はなく、受講者は積極的に講義およびグループ作業に取り組みました。

また今回は、(株)コーエイ総合研究所の石井洋子さんにも特別講師として参加をお願いし、マケドニア・ボリビアの2件の農業開発調査事例を中心に、開発調査におけるPCM手法の活用事例についてご説明いただきました。受講生からはPCMを行う準備作業から結果の取りまとめに至るまで、細かい質問が相次ぎ、開発調査に従事するものにとって、実践的で有意義な講義となりました。

昨年より本研修を実施しておりますが、依然PCM手法への関心の高さが伺えます。ADCAでは、今後もPCM手法研修を開催していく予定ですので、皆様の多数の参加を期待いたします。


青年会議だより
国際会議NGO第3回世界水フォーラム

−青年会議勉強会から−

平成14年4月10日にADCA青年会議では第3回世界水フォーラム事務局次長塚元重光氏を講師にお迎えして「第3回世界水フォーラムとNGO」と題する勉強会を開催しました。当日は配布資料とパワーポイントによるプレゼンテーションにより、これまでの世界の主要な国際会議の流れ、およびそこで表面化したNGOの問題提起、特に水をめぐる対立点、第3回世界水フォーラム開催にむけての準備活動などについてお話を伺いました。当日のお話と資料のなかから印象深かった点を述べさせていただきます。

国際会議と意義申し立てへの対応

1999年シアトルでのWTO閣僚会合以来、重要な国際会議では数万人単位のデモが行われるようになり、2001年7月に行われたイタリアのジェノバ・サミットではデモ隊と機動隊の衝突で死者が出ました。その後も世界食糧サミットや、世銀会議が延長されるなどの影響が出ています。これらの抗議行動はグローバリズムへの意義申し立てと言われていますが、国際会議を主催する立場の人たちも反グローバリズムを主張する人たちとの対話が必要なことを認めて対応を模索し始めています。

1971年以来スイスのダボスで32回にわたって世界経済フォーラム(ダボス会議)が開催されて来ました。これが強者による強者のためのフォーラムであるとして、ダボス会議に対抗してNGOや労働組合などが中心となって議論する大会として世界社会フォーラムが同じ時期にブラジルのポルトアレグレで開催されました。2年目の今年の参加者は7〜8万人と言われています。

1992年の環境と開発に関する国連会議(リオ地球サミット)ではアジェンダ21が採択され、事後対策としての環境政策から持続可能な開発への総合的なアプローチへとパラダイムがシフトしました。同時に、限られた関係者から多様な主体と利害関係者の関与へという方向性が生まれています。リオ地球サミットから10年後の2002年8月に開催される持続可能な開発に関する世界首脳会議(ヨハネスブルグサミット)はアジェンダ21の包括的なレビューとその世界的な取り組み強化を図ることを目的としていますが、その準備段階およびサミットそのものにおいてマルチ・ステークホルダー・ダイアログ(MSD)が実施されます。MSDの主要対象グループは女性、子供及び青年、先住民、NGO、地方公共団体、労働者・労働組合、産業界、科学・技術団体、農民となっています。

国際会議における水問題への取り組み

1977年マルデル・プラタにおける第1回国連水会議に始まり、ダブリンにおける水と環境に関する国際会議(1992)ではリオ地球サミットで淡水資源の確保を位置づけるための準備を行いました。リオで採択されたアジェンダ21の第18章は淡水資源の質と供給の保護:水資源の開発、管理及び利用への統合的なアプローチの適用となっています。しかしながらリオの会議では地球温暖化・生物多様性確保が議論の中心となり、水問題の位置づけが不十分との認識から1996年に世界水会議(WWC)が設立され、WWCの提唱により世界水フォーラム(WWF)が開催されることになりました。第1回WWFは1997年にマラケシュで、第2回WWFは2000年ハーグで行われました。第2回WWFでは世界の水問題の方向性を示した世界水ビジョン(World Water Vision)が発表され、同時に開催された閣僚級会合で21世紀における水のセキュリティに関するハーグ宣言が採択されています。第3回WWFは2002年3月京都・滋賀・大阪の琵琶湖・淀川流域で開催される予定となっています。

第2回WWFと第3回WWFの間にヨハネスブルグサミットが開催されますが、アジェンダ21第18章に明示されている淡水資源の保全に関する行動計画の実施を推進するために、2001年にボンで国際淡水会議(ボン会議)が開催され、その結果をヨハネスブルグサミットの準備過程での議論に反映させることを目指しています。

第2回WWF(WWF2)における問題点と第3回WWF(WWF3)の課題

前述のようにWWF2では世界水ビジョンが発表され、ハーグ宣言が採択されていますが、討議は平穏に終始したわけではありません。意表をつく抗議のパフォーマンスもあり、参加したNGOグループの一部からは水の市場化・商品化、民営化、大規模水資源開発、バイオテクノロジー推進に対する疑念が表明され、意思決定プロセスの不透明性が指摘されています。また、閣僚級会合に対しては56のNGOが連名で世界水委員会(World Water Commission)報告書および世界水会議(World Water Council)報告書に拒否宣言をしています。この背景にはフォーラムが世銀や国連開発計画、多国籍企業など、もともと民営化を推進している立場の団体が中心になっており、当初水の商品化に反対する環境保護団体やNGO、労働組合などの参加を認めていなかったことがあります。

世界水ビジョンでは3つの目標と5つの行動が提案されています。

目標
1.われわれがどのように水を利用するかを決定する権限を女性、男性、地域社会にもたせる。
2.水1滴当たりの穀物収量および生産量を増やす。
3.水を管理して淡水と陸上生態系の保全を実施する。

行動
1.すべての利害関係者が総合管理に関与する。
2.すべての給水にフルコストプライシングを導入する。
3.研究と革新に向けて公的資金を拡大する。
4.国際河川流域を共同で管理する。
5.水への投資を大幅に増加させる。世界水ビジョンを実現する責任をわれわれ全員に帰する。

この中でもっとも鋭い対立となったのが前述のように行動2.のフルコストプライシングとそれに伴う水の市場化、民営化です。水を経済的財として価値をつけ、水利用の効率を向上させるために民営化を推進する立場と、水は社会的財であって民営化が弱者に負担を強いるとして反対する立場の対立です。ヨハネスブルグサミット、第3回WWF(WWF3)ではMSDの対象がより拡大されますが、それとともに準備段階から広範囲な意見を集約する必要があります。ヨハネスブルグサミットには提言フォーラムが結成されています。その試みとしてWWF3ではヴァーチャルウォーターフォーラム(VWF)によりインターネット上の仮想会議室で討論を行い、その経過・結果をフォーラムの分科会の基礎資料とする一方、ボランティアの“水の声メッセンジャー”により水に関する草の根レベルの意見を集めてデータベース化して議論の基礎とします。また世界水フォーラム・プレシンポジウムが開かれ、水のフルコストプライシングをめぐっての討論・ケーススタディをスタートさせています。そのなかで、民営化により水道料金の大幅な値上げが行われた事例が紹介され、またタイでの事例からADBの方針と農業セクタープログラムローン(ASPL)の実施が果たして農民の貧困解消に役立つかどうかを述べた意見があります。それによるとASPLの原理のもとでは報酬を多く生み出すことができる生産部門や水利用者が報酬を多く出せない生産部門や水利用者より優先して水の配分を受ける機会を得、灌漑局の水管理・配分では都市部や工業部門への水配分が最優先で、農民の貧困を軽減できるのかと疑問をなげかけています。それに対して民営化を推進する立場からは上水道の管理運営を世界的規模で運営しているフランスの企業の代表者が発表を行っています。このような対立する幅広い意見をいかに集約してゆくかがWWF3の成功の鍵かと思われます。

ダムについて

水を語る上で大きな問題のひとつであるダムについては世界ダム委員会(WCD)があり、その最終報告書をめぐるセッションが紹介されていますが、WCDについては昨年取り上げていますので、ここでは省略し、また機会があればとりあげたいと思います。

以上は当日の広範囲かつ詳細なテーマのごく一部でしかありませんが、興味深いお話の一端でも紹介できていれば望外の喜びです。ADCA青年会議では今後とも会員の皆様の役に立つ勉強会を開催してゆきたいと思います。



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