青年会議勉強会報告
「タイの一村一品運動およびマイクロファイナンス」(青年会議勉強会報告 2004年10月8日)
2004年10月8日に、株式会社パシフィックコンサルタンツインターナショナル理事の原啓氏をお迎えして、「タイの一村一品運動およびマイクロファイナンス」というタイトルでADCA青年会議勉強会が実施されました。
原氏からは、1.激変するアジア情勢下での日本のODAの発想転換、2.タイの行財政改革、3.タイ版一村一品(OTOP)について講演して頂きました。
ここでは、その概要をご紹介致します。
1.日本のODA変化の認識と発想の転換
1)激変するアジア情勢
インドネシア、マレーシア及びフィリピンでの政権交代、後発加盟国(カンボジア、ラオス、ミャンマー、ベトナム)の経済格差の広がりによるASEAN諸国の対立と不安定化が懸念される中、ASEANを維持しいくための日本の役割を考えていく必要がある。その他、中国の南下戦略の影響、台頭するイスラム原理主義も認識し発想の転換が求められている。
2)再構築が必要なODA3要素
社会情勢が変化していくなかで、ODAの3要素であるヒト、モノ、カネについては、
・ともに学ぶ人材育成
・技術や技能等の共有化
・参加型金融システムの構築(例;Saving Group)
といった「縦から横の関係・片務から双方向」への再構築が必要となってきている。
また、個人の価値観の尊重、モノの個性化を重視、民間型ビジネス市場の創出など、「援助からパートナーシップ」への発想の転換が重要となってきている。
3)新たな環境と新たな取組
最近では、「人の安全」や「経済連携」など新たなODAの環境要素として組み込まれてきている。
また、新たな取り組みとして
・ハードからソフト・制度へ
・現場への回帰(新たな価値観の創出)
・イスラム社会への対応
などが試みられている。
2.タイ国の挑戦:行財政改革
タイ国の急速な経済成長に至る過程において、政治、経済、外交の面で以下のような改革が行われた。
・政治改革:1省1ミッションとし、省庁の数を増やし、スクラップアンドビルドをベースに重複事業の減少を図る
・経済改革:タクシノミックスと呼ばれる「双軌政策」により内需と外需を同時に刺激・拡大を図る
・外交改革:親米からアジア周辺国との外交に重視
3.タイ版一村一品(One Tambon One Product(OTOP))
1)背景
タイ版一村一品政策が行われた背景には、
・周辺国の紛争解決とタイ米の競争力低下によりタイの農村は米のみでは自立できない。
・経済危機の影響から政府に頼らないボトムアップ型農村グループの自立化と多様化の動き
などがあった。
2)OTOP開発政策の特徴
OTOP開発政策の特徴としては、
・政府の間接支援(選定基準の策定など)
・マイクロ・ファイナンス・システムの導入(Government Saving Bankによる低金利融資)
・イスラム金融システムの活用
・環境への負荷が少ない(その土地の原材料や資源を用いている)
があげられる。
3)OTOP政策からのOutcome
政策が進められていくなかで、良いものを作るために人々が知恵を出し合う「競争原理」や生産者と消費者という「双方向」の関係が創出された。
4)OTOPの新たな展開
今後は、農業セクターにおける民間主導による開発モデルとしての貧困政策への応用、横の繋がりとしてメコン地域開発への適用やイスラム社会への適用をどのように展開していくかが課題であろう。
「インドネシアにおける水管理」(青年会議勉強会報告 2004年12月1日)
2004年12月1日に、前インドネシア水利組合強化計画専門家をされておられました臼杵宣春氏をお迎えして、「インドネシアにおける水管理」というタイトルでADCA青年会議勉強会が実施されました。
臼杵氏からは、ご本人が携われている「Activities and Progress of Empowerment of Water Users Association Project」を進める過程で生じた課題や現地での活動内容について講演して頂きました。
「ADCA青年会議−JICA農村開発部意見交換会(2004年度第2回)報告」(2004年9月13日)
2004年9月13日に、ADCA青年会議とJICA農村開発部若手メンバーの間で、「現場から見た実証調査:その評価と可能性」をテーマとして、2004年度第2回目の意見交換会が実施されました。
第2回は、ADCA側からの事例紹介の後、グループに分かれて、実証調査の長所、課題および今後のどのように進めていくかなどについて意見交換が行われました。
「ADCA青年会議−JICA農村開発部意見交換会(2004年度第3回)報告」(2004年10月15日)
2004年10月15日に、ADCA青年会議とJICA農村開発部若手メンバーの間で、「開発ニーズの把握(分析)」をメインテーマとして、2004年度第3回目の意見交換会が実施されました。
第3回は、JICA、ADCA双方から案件形成の過程について説明を行った後、グループ毎にサブテーマ「真の開発ニーズとは?(ドナーの視点、相手国政府の視点、住民の視点から)」について意見交換が行われました。
「ADCA青年会議−JICA農村開発部意見交換会(2004年度第4回)報告」(2004年11月12日)
2004年11月12日に、ADCA青年会議とJICA農村開発部若手メンバーの間で、「案件の形成」をメインテーマとして、2004年度第4回目の意見交換会が実施されました。
第4回は、前回のテーマを踏まえてサブテーマ「農業・農村を中心としたマルチセクター案件を、どう形成すべきか」を設定し、グループ毎に意見交換が行われました。