No.78 2005.7
もくじ
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●●●ADCA活動記録●●●
●●●国別研修報告●●●
●●●青年会議だより●●●
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ADCA活動記録
<お知らせ>

去る5月26日開催の第29回通常総会および第55回理事会において新役員(任期2年)が選任されました。

職名
氏名
新/再任
会長
佐藤 昭郎
再任
副会長
久野 格彦
再任
専務理事 
安村 廣宣
新任
理事
今川 幸雄
再任
理事
小島 荘明
再任
理事
森田 祥太
新任
理事
高橋 修
新任
理事
横澤 誠
新任
     
監事
柳原 武男
再任
監事
大堀 忠至
新任


国別研修報告

平成16年度農業・農村開発国別研修報告(インド)

ADCAでは平成4年度より農業・農村開発国別研修を実施している。本研修は、農業・農村開発に関する事業が必要と考えられる国から農業・農村開発関係の上級職員を招聘し、その国の農業・農村開発に関する政策や現状について説明して頂くものである。同時に会員企業や関係機関との意見交換を行い、関係する技術者の知識向上と今後の農業・農村開発の発展に貢献することを目的としている。

平成16年度は、インドを対象国として2005年3月8日〜14日の日程でアンドラ・プラデシュ州政府灌漑局のS.P.Tucker次官を招聘した。インドは、2003年度円借款の供与額が供与対象国の中で1位となり、また、政策として農村開発や灌漑事業にも重点を置くことが示されており、今後農業・農村開発分野のさらなる事業実施が期待されている。しかし、今迄インドでの農業・農村開発分野における日本の経験は限られており、情報も充分ではないため、インドを対象として本研修を実施することとなった。

ワークショップ

農林水産省やJICA、JBICへの表敬訪問後に開催されたワークショップには、約30名が参加した。Tucker次官からは、インドの水資源や灌漑開発に関係する政策や現状についての説明とアンドラ・プラデシュ州における水資源、灌漑、農業などの現状や問題点、今後の開発の方向性などについて約45分間に渡って説明して頂いた。また、JBICの市口調査役とJICAの高田チーム長からも、農業・農村開発を中心としたインドにおけるそれぞれの取り組みや今後の支援の方向性などについて説明して頂き、さらに、農業工学研究所の山岡研究室長からもアジアにおける水循環に関する研究状況、今後の取り組みなどについて説明して頂いた。それぞれの説明に後には質疑応答が行われ、インドの農業・農村・水資源についての貴重な情報が交換された。さらにワークショップ終了後に行われた懇親会の場においても、活発な意見交換や情報交換が活発に行われた。

豊川用水視察

本研修期間中の3月11日と12日には愛知県の豊川用水を訪れ、日本の灌漑システムを視察した。
豊川用水視察では、(独)水資源機構豊川用水総合事業部を訪問して豊川用水の歴史や灌漑システムの概要、維持管理方法、水配分状況、料金徴収状況などについて説明を受けた。また、調整池、幹線水路、ポンプ場、分水工、頭首工などの施設を視察しながら灌漑施設の説明を受けると共に、灌漑水田やトマト栽培の温室を視察し、日本の農業の状況を視察した。
特にTucker次官は、インドの灌漑事業は、新規施設の建設がほぼ終了し、今後維持管理や改修に重点を置く必要があると認識している。そのため日本の灌漑施設の維持管理システムや受益地の開発、農家の所得向上による灌漑施設などの資金回収に注目しており、積極的に質問されていた。


青年会議だより
「米国開拓局における水路管理」(青年会議勉強会報告 2005年5月19日)

2005年5月19日に、農林水産省農村振興局設計課の進藤惣治氏をお招きして、「米国開拓局における水路管理(ワークショップ参加報告)」のタイトルでADCA青年会議勉強会が行われました。
進藤氏は、2005年3月および4月の2回、米国開拓局を訪問されました。本勉強会では、4月4日〜14日にかけて参加された水路管理ワークショップについて、主に講演して頂きました。ここでは、その概要をご紹介いたします。

1. 米国開拓局と我が国と関わり

わが国の設計基準は、戦後、GHQの勧告に基づき、米国開拓局から導入されたものであり、昭和20年代後半から30年代にかけては、我が国は、開拓局と交流を行い、技術を積極的に吸収した。しかし、その後は、わが国独自で技術改良を行ったため、技術交流は近年途絶えた状態にあった。
近年、我が国では、施設の老朽化が進む中で、既存ストックの有効活用が大きな課題となっており、効率的な整備更新を実現するために、ストックマネージメント技術の確立、ライフサイクルコストの低減等が求められている。また、昨今の新たな技術的課題として、環境との調和、多面的機能の発揮等に対応する技術の確立が求められている。このような我が国の直面する新たな課題に対し、米国開拓局が現在どのような対応をしているのかが、今回の訪問における、一つの関心事であった。

2. 米国開拓局の概要

米国開拓局(US Bureau of Reclamation)は、1923年に発足し、米国内務省の水資源科学総局内に設置されている。1928年に開始されたフーバーダムの建設を契機に大きく発展し、西部17週で水資源開発を行ってきた。
開拓局の事業方針は、「アメリカの公共の利益のために、環境・経済的に健全な方法で、水資源を管理、開発、保全する」ことであり、以前は、水資源の開発と関連施設の建設が主な事業であったが、現在は、水資源の問題解決(水利用の効率化、野生動物のための水の確保、レジャーのための水の確保等)のために水資源管理および保全に移行してきている。

3. 米国開拓局の水供給の状況

開拓局は、西部州の農家の約20%に農業用水を供給し、35百万人に年間40億トンの水を都市用水として供給している。発電においては、全米第10位の発電事業者となっている。最近の水利用状況の変化としては、西部諸州の人口が増加しており、農産物の輸出も増加しているため、それに伴い、水需要も増大傾向にある。また、環境への関心の高まりとともに、環境の質(水、空気)、レクリエーション利用、農業景観の保全等の要求が高まってきている。

4. 開拓局技術サービスセンター

開拓局本部はワシントンにあり、技術サービスセンターがデンバー(コロラド州)に置かれている。本センターは、事業に対する技術、研究の支援を行っており、大規模な水理・材料構造実験施設を有している。特に、最近では、実際の生物を使用して、環境関連の実験が行われている。これらの実験では、水理・構造の技術者だけでなく、生物学者も試験に参加している。実験に際しては通常の生息状況に近づけた上で実験を行うなど、魚類のストレスにも配慮した実験が行われている。

5. 水路管理ワークショップ

今回参加した、水管理ワークショップ(Modern Methods in Canal Operation and Control)は、コロラド州デンバーにて、講習および実習が行われ、ユタ州およびアリゾナ州でスタディー・ツアーが行われた。
開拓局の水管理の考え方は、「水路はプールである。」というものであった。この考え方は、水路内に水を貯留し、水路内の水位を一定に維持することにより、安定した分水(Turnout)を可能とし、無駄な放水を防ぐというものである。また、貯水池を建設出来ない所は、水路を拡幅することにより、水を貯留し、貯水池代わりに使用するというものである。また、この考え方においては、水位が安定することにより、施設を長く安全に利用することもできる。
米国における水管理は、広大な地域で自動管理が行われており、水位を測定しながらゲートの遠隔操作が行われている。遠隔操作では、水位のデータが各観測点から、無線やインターネットを通して収集されている。

6. ワークショップの感想

今回のワークショップに参加して、印象に残った点は以下の点である。

- 水路をプールとして考える水管理の考え方は、水資源が逼迫する中では参考にすべきである。
- 生態系、景観、レクリエーションへの対応など直面する問題に日米の差はない。
- 問題解決のためのプロセスは、米国において徹底していた(徹底した実験等)。
- また、過去の失敗を隠さず公開し、問題解決にあたる姿勢は見習うべきである。

講演後の質疑応答では、4月にワークショップに参加されたばかりということで、情報がホットだったため、参加者の関心も高く、米国の水管理方式やワークショップについての活発な質疑応答が行われました。
また、ワークショップやスタディー・ツアーでの楽しい思い出等も進藤氏にお話し頂き、とても和やかな講演となりました。



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