No.83 2007.7
もくじ
●●●
●●●寄稿●●●
●●●プロジェクト紹介●●●
●●●ADCA活動報告●●●
●●●青年会議だより●●●
●●●

寄稿
水利組合による末端灌漑管理支援

御前孝仁

(前JICAインドネシア水利組合強化計画プロジェクト専門家)

1. プロジェクトの背景

 開発途上国においては、灌漑の最終受益者である農民に管理の権限と責任を委ねることにより、効率的な灌漑システム管理を進めようという動きが近年強まっている。インドネシアも水資源の有効管理と政府の財政負担軽減を視野に入れて、灌漑管理制度の見直しを進めている。具体的には、ほ場に配水する末端灌漑網の管理を受益者農民で構成される水利組合に移管しようというものである。しかし現状では、移管先である水利組合は、政府主導で組織化されてはいるものの灌漑網の維持管理に習熟しておらずその対応が急務となっていた。

 インドネシア政府(公共事業省水資源総局)は、こうした状況を踏まえ、土地改良区等農民水利グループによる灌漑網管理に知見と経験を有する我が国に対して水利組合の強化を目的とする技術協力を要請した。これを受けて我が国は、南スラウェシ州で円借款を活用して整備が進められていたビリビリ灌漑プロジェクトの中の5水利組合をモデルとした末端灌漑網管理プロジェクトに対してJICAを通じて支援を実施することで合意した。

2. プロジェクトの概要

1)プロジェクト名称:水利組合強化計画(Empowerment of Water Users Association Project)

2)プロジェクト目標:モデルエリアにおいて水利組合が地方政府による支援及び協調を通じて活性化することにより、灌漑施設の適正な運用及び管理が行われることとした。

3)プロジェクトアウトプット:プロジェクト目標達成に資するアウトプットとして水利組合組織強化、効率的水管理、灌漑施設維持管理・改善、効率的営農、研修の5つを設定。

4)CP機関:公共事業省(水資源総局)、南スラウェシ州(水管理局)、ゴワ県(計画局、農業局、水管理局)

5)実施期間:2004年4月〜2007年3月(3カ年)

3.プロジェクト活動と成果

1)活動手法

 インドネシアにおける最新の灌漑政策(2006年制定の灌漑に関する政府規則第20号)において水利組合強化の直接の担い手は県政府とされている。また中央政府、州政府は県政府に対し必要な技術支援を行うこととされている。こうしたことを踏まえ、モデルエリア現場では、主として県政府のカウンターパート並びに地域で活動するNGOと連携して、水利組合の役員を対象に、OJT型活動を行った。また中央政府、州政府のカウンターパートとはプロジェクト管理と研修教材作成・研修実施で連携した活動を展開するという手法を採用した。

2)活動の成果

プロジェクトでは、プロジェクト目標、プロジェクトアウトプットそれぞれに達成度を測るための指標を設定した。三年間の活動成果をこれらの指標から見ると以下の通りである。

ア)プロジェクト目標

 プロジェクトの目標達成度を測る第一の指標として、乾期の稲作面積がモデルエリアの70%を越えることを設定した。プロジェクト初年度の52%、二年度の66%から最終年度74%と初年度の40%増となった。第二の指標は、現場の活動をベースに周辺地域で適用できる活動指針(モデルリファレンス)の作成である。現場活動の中核となった県政府CPとNGOとが連携しリファレンスを完成させた。

イ)プロジェクトアウトプット

i)水利組合組織の強化

 組織強化は、組合総会への参加率と水利費徴収率の2指標で測った。組合総会はプロジェクト開始時点では開催された事例が無かったが、実施期間中に三回開催された。組合員の参加率50%を目標と設定したが、平均では30%程度に留まった。組合員の居住地域がいくつもの集落に跨って拡がっており、情報伝達に時間が掛かるのが原因の一つである。水利費徴収率は開始時平均14%程度であったが最終年度は39%までと目標(28%)を大きく上回った。

ii)効率的水管理

 乾期において水利組合が管理する三次水路の計画に対する配水率を指標とした。初年度は未測定であるが、二年次52%、最終年次に63%となり、目標の60%を達成した。

iii)灌漑施設の維持管理及び整備

 組合員農家による維持管理への参加率と末端水路整備率を指標とした。維持管理への参加率としては、管理対象水路延長の80%を目標に設定、二年次に68%、最終年次は97%となった。また末端四次水路の整備に関して、着手率と整備率をそれぞれ70%、30%を目標としたが、プロジェクト終了時には、それぞれ74%、46%と目標が達成された。

iv)効率的営農

 水利組合の三次水路内の配水計画と農家の栽培計画との整合率と乾期稲作の収量の二つを指標とした。配水と栽培の整合度については、80%を目標に設定、二年次乾期の51%から最終年次雨期には目標を上回る83%へと高まった。乾期稲作単位収量はヘクタール当たり5トンを目標としたが、開始当初の3.5トンに対し、4.7トンとなり、5トンには及ばなかったものの30%の増収となった。上記2)のア)プロジェクト目標の成果で述べたように乾期稲作面積が40%アップしたことを加味するとモデルエリアの平均収穫量はプロジェクト開始時点と比較して約二倍となった。

v)研修

 研修教材の作成(一式)と研修受講者(150名)を指標と設定した。研修教材は、中央政府と合同で22巻の教材を作成し、中央政府・州政府CPが講師となって230名を対象に研修を実施した。現場レベルでもこれまでの活動を基にして、県政府CPとNGOとが中心となって周辺地域で活用が出来る研修教材(モデルリファレンス)を作成した。

4.成果の持続に向けて

 水利組合が政府から適時適切な指導を得ることにより、農民が主体となった効率的水管理を実行し、農業生産の格段の向上が実現可能であることを本プロジェクトはモデルとして提示できた。しかしながらそのモデルが持続的に維持され、周辺地域に着実に浸透していくためには政府、水利組合そして両者の潤滑油としての機能が期待されるNGOを含めて三者が有機的に連携して活動を進めていくことが重要である。特にインドネシアの場合は一つの灌漑システムの管理者が政府と水利組合とに分かれており、両者の連携が崩れるとシステムの機能不全に直結する懸念が大きいからである。NGOには両者の連携支援という役割に加え、水利組合の役員と組合員である農民の連携活動支援というコミュニティ強化の役割発揮が期待される。

 もちろんこうした連携の前提として、政府が所管する灌漑システムの適切な管理に努め、末端に確実に配水を行い、水利組合が必要な管理を持続的に実行できるまで必要な支援を継続していくことが最優先課題であることは言うまでもない。州政府、県政府では水利組合との連携支援を強め、プロジェクトの成果を周辺地域に展開することとしている。

写真1.水利組合役員が定期的に会合を持ち配水計画、栽培計画、水路整備などを話し合う。
 写真2.水番(組合役員の1人)は、管理の三次水路網の管理を行う。             
 写真3.貴重な灌漑水を効率的に使うには丹念な代掻きが欠かせない。トラクターで土運搬。  写真4.豊かな実りをもたらした水利組合に水利費を支払う(黒いバケツ一杯の籾米)。


プロジェクト紹介
東部ウガンダ持続型灌漑開発計画調査


調査期間:2003年11月〜2007年3月

相手国実施機関:ウガンダ共和国農業省                                                          

調査の背景                                                          

 この事業は、2003年11月から2007年3月の3年5ヶ月の期間で行われたJICAの開発調査事業である。調査の実施は、幹事会社の日本工営株式会社と太陽コンサルタンツ株式会社の共同企業体で行った。
 ウガンダ国の貧困レベル(US$1.0/日/人以下の生活)にあえぐ住民は2002/2003年統計で人口の約39%(960万人)にも上ると推定されている。同国では、国家的な貧困削減政策として貧困削減行動計画(PEAP)を立ち上げ、2017年までにこれを10%以下にまで下げる目標を揚げている。この中で農業政策として策定された農業近代化政策(PMA)は、人口の88%が農村部に生活しその殆どが農業に従事することから、貧困削減の重要な政策となっている。
 ウガンダ経済における農業分野は全GDPの34%(2005/2006年)を占める重要な分野となっている。輸出においては、農産物の輸出割合がコーヒーを筆頭に2002年の全輸出額の71%を占めている。穀物輸入では小麦と米が主体で、小麦がほぼ全量を輸入している。一方の米も国内生産量が伸び悩む中、需要が急速に伸びつつあるため輸入量が急増している。そのため、国内生産量の約80%を占めるウガンダ東部地域の農家にとって、米は重要な換金作物と位置付けられている。

調査地域の現況

 計画対象地域は、約37,000km2とほぼ九州程度の広さで、国土面積236,000km2の約15%の地域に総人口27,480,000人(2006年)の23%、640万人が住む人口稠密な地域である。対象とする県(Districts)は21県(当初は13県で、後に細分された)である。
年間平均雨量は約1、300〜1,500mm程度で3〜5月の第1雨期と9〜11月の第2雨期があり、この間は降雨が少なく特に12〜2月は厳しい乾期となっている。問題はこの降雨量や降雨時期が年により不規則で、不安定なことである。

 現況の農産物生産は極めて多様化され、主食である料理用バナナ(生産量は世界1位)、トウモロコシ、ヒエ、ソルガムに加え豆類、キャサバ、サツマイモ等の食糧作物のほか換金作物としてコーヒー、綿花、大豆、ヒマワリ、ピーナッツ、ゴマなどが栽培されている。水稲は湿地帯における最適作物として導入され、換金作物として位置付けられている。栽培面積は約7万ha以上に拡大しているが、収量は籾で2トン/ha以下に留まっている。

 本事業の対象地域における湿地の総面積は8,352km2で、うち季節湿地が5,762km2、永久湿地が2,590km2である。農地利用が盛んなこの湿地では、季節湿地のうち28%が既に人工的に植生が変換され、湿地条例で定められている最大利用可能率の25%を超えている。

 灌漑施設の整備は非常に遅れており、中国政府が1980年代に建設を実施したDoho灌漑地区(966ha)とKibimba灌漑地区(1,060ha)のみ整備されているが、Doho地区は滞砂の影響で十分な灌漑は行われていない。Kibimba 地区はインドのTilda社に借り上げられ企業ベースの米生産が行われている。このためKibimba地区は本事業の計画対象外とした。水稲栽培技術は全国的に非常に低く、国家農業研究機構(NARO)にも稲作の研究者は居らず、水稲の研究施設も整備されていない。また、農業省をはじめ各県においても灌漑技術者と呼べる技術者はほとんど居ないため、灌漑施設の普及の大きな障害となっている。一方、陸稲の普及、栽培技術のためJICAからの陸稲専門家が派遣(2004年)されたり、NGOのSasakawa Global 2000により陸稲の種子配布がされるなど陸稲栽培が急速に広まりつつある。

開発計画

(1) 開発の基本構想と開発要素

 現況における湿地利用状況の調査結果より、季節湿地における小規模水田としての開発ポテンシャルを算定した。新規開発可能面積は、環境条例に定められた湿地の開発可能面積、および水田灌漑に必要な水源の確保を考慮して、104,000haと推定した。この結果、既存の水田面積69,000ha(Kibimbaを除外)と合わせて、173,000haが持続型灌漑開発の対象面積とした。

 持続型灌漑開発の基本構想としては、調査対象地域が持つ開発ポテンシャル及び開発阻害要因の分析結果より、次のように設定した。

1. 上位計画であるPEAP及びPMAの枠組みと整合性が取れる開発計画とする。よって、本事業の開発目標年をPEAPと同じ2017年とする。

2. 持続型灌漑開発は、環境面で持続可能であるとともに参加する組織、農民にとって長期的に管理可能であること。

3. 灌漑稲作を主体に域内の農業全般の向上に寄与するものとして策定する。

4. 開発は段階的開発を行うこととし、短期(2008-2010)、中期(2011-2013)、長期(2014-2017)の3期に区分する。

5. 開発目標は、事業に実現性を考慮して、本事業の対象地区面積として、既存水田の改修・改良を10,000haと新規開発面積を10,000haの合計20,000haとする。

 開発のコンポーネントとしては、現況における開発の阻害要因を解決する方向で検討を行い、次の4項目を対象とした。

1. 土地・水資源開発:既存水田の改修・改良、既存農地の水田利用への転換、新規水田開発、及び降雨の不規則性を考慮して、小規模ため池計画を導入する。また、これらの事業を実施する人材育成のため農業省及び県における灌漑技術者の養成を図る。

2. 生産技術開発:栽培技術を対象とする試験研究改善(栽培試験・種子増産)。農機具及び資源循環型農法の導入による耕種法改善。展示圃の運営や普及員の技術訓練を通じた普及システムの改善。

3. 組織・制度開発:協同組合・水利組合の組織化と活性化。稲作支援諸制度の改善。

4. 環境保全:農村コミュニティによる湿地管理システム強化。湿地環境モニタリングシステムの設置。

(2) パイロットプロジェクトでの実証調査

 持続型灌漑開発を実証するために、4つの県において灌漑施設を整備したパイロットプロジェクト(P/P)の建設及び建設後の水管理と施設の維持管理を農民参加型で実施した。

 P/Pの実施に先立ち、13県からの灌漑技術者候補の訓練を行い、建設工事期間中には、OJTとして現場の工事に農民と共に参加し灌漑開発事業における工事から維持管理までの経験を積ませた。また、農民については、水利組合を編成することにより水管理の技術の習得と共に水利費の徴収と維持管理作業について活動内容を記録することとした。

 また、灌漑施設を実施しない9県については、展示圃場を設定して、農民の水稲技術の訓練と種子増産を実施した。また、農機具については、手動による回転除草機を製作し、各P/Pでの普及と利用を行った。水稲栽培技術では、推奨株間を15cmx25cmとし、これまでの種子必要量約50kg/haを約4kg/haまで減らすことが出来た。その上、ほとんどの地区での籾収量が1.5〜2.0トン/haから4.0〜7.2トン/haへと3倍〜4倍の増収が見られた。これにより、農家収益も約4倍の増加となることが確認された。

                          

             位置図                                           4箇所のP/P諸元                          

                             

                        Sironko地区における正条植と除草状況              Bugiri地区の取水工 


 
ADCA活動報告
 プロジェクト ・ファインディング調査報告

(ODA現地タスクフォースとの意見交換 エジプト)

 プロジェクト・ファインディング調査をより効果的・効率的に実施するため、2007年2月2日から2月10日までエジプトで現地調査を実施した。本調査では、ODA現地タスクフォースとの意見交換や情報収集を行い、案件形成における留意点を整理した。

 エジプトの農地はナイル河周辺とナイルデルタに集中している。また、農業用水は、ナイル河の水に依存し、灌漑率はほぼ100%である。しかし、エジプトの経済発展に伴う水消費量の増加による水不足、人口増加による農地と食料の不足が課題となっている。そのためエジプト政府は、農業政策として水平拡大と垂直拡大を中心として進めている。水平拡大とは、新規農地の開拓であり、西デルタやシナイ、トシュカなどで学卒者に農地を与えて入植させ、失業対策にもなっている。垂直拡大とは、農業生産性の向上であり、生産技術や節水技術を向上させるとしている。その他にはアグロビジネスの促進による農家収入の向上、灌漑システムの合理化、農産物の自給率の向上、農産物の輸出拡大などを政策として挙げている。

 本調査の結果挙げられたエジプトの農業農村開発協力に関する主な留意点等を以下に示す。

・水資源の有効利用のために灌漑施設の改修が必要である。従来は、無償資金協力によって実施されていたが、エジプトに対する円借款が再開されたため、円借款による支援や無償資金協力と円借款の連携も検討して案件を形成する必要がある。ただし、無償資金協力案件と円借款案件の違いや役割分担を明確にする必要がある。

・大消費地であるヨーロッパに近いことから、エジプト政府は、農業生産物の輸出促進にも力を入れている。しかし、農産物輸出の持続性を確保するためには、農業生産に対する支援だけでなく、加工や品質管理、包装、貯蔵、流通、販売などの基盤整備とその管理、活用能力の向上が伴い、ビジネスとして成り立たなければならない。案件を形成する際は、生産から販売までを考慮し、持続性を確保する必要がある。

・今までエジプトに対する農業農村開発は、ナイルデルタ地域が中心であったが、今後、上エジプト、中エジプトを対象とした支援が本格化すると言われている。しかし、上、中エジプトへの移行の時期、他のドナーの動向に留意して案件を形成する。

・資金協力と技術協力の連携を案件形成時から検討し、より効果的、効率的な支援にする。

・エジプトでは、大規模に輸出用農産物を生産する企業もあり、先進的な技術を導入している。新たな技術を検討、導入するだけでなく、エジプト国内で活用されている技術を有効に利用、普及することも必要である。

平成18年度PCM手法モデレータ/ファシリテータ養成研修

 平成19年2月27日から3月1日の3日間に渡り、平成18年度PCM手法モデレータ/ファシリテータ養成研修を開催した。モデレータ/ファシリテータには?国際マネジメントシステム研究所の花田重義氏をお招きした。本研修にはADCA正会員・賛助会員より合計5名が参加し、モデレータ/ファシリテータの講義と実演を通じてPCM手法を用いたモデレータ/ファシリテータの技術を修得した。

 開発調査や評価調査ではPCM手法の理解だけではなく、特に参加型計画立案においてモデレータ/ファシリテータとして参加者から意見を聞きだし、合意を形成するための技術も必要である。本研修では、PCM手法を用いたワークショップを実施する際のモデレータ/ファシリテータ技術を修得することを目的としている。

 研修では、ADCA作成のテキストを用いてファシリテーション技術の講義と、受講者がモデレータ/ファシリテータとなって農業開発に即した演習事例に沿って実演を行い、参加者から意見を聞きだし、合意を形成する技術について修得した。

 研修後に行ったアンケート調査によると、参加者の全員がモデレータ/ファシリテータの技術について「よく理解できた」、また研修に対しては8割が「期待通り」と回答している。さらに、今後仕事にも活用できるとの回答を寄せていることから、本研修は受講者の期待に答え、有効であったことが示される。また、今回は受講者数が少なかったため、1人当たりの演習時間を長くできるというメリットがあった。
 一方、受講者の多くがPCM手法

の計画・立案の勉強不足を挙げており、事前に計画・立案を復習する機会が必要であるといえる。テキストや演習について検討を要望する意見も挙げられており、今後、これらの意見を検討して次回の研修内容へ反映させていきたい。

平成19年度PCM手法モニタリング・評価研修

 平成19年6月19日から6月22日の4日間に渡り、農業土木会館の会議室にて、モデレータには昨年度に引き続き?国際マネジメントシステム研究所の花田重義氏をお招きし、平成19年度PCM手法(モニタリング・評価)研修を開催した。本研修

にはADCA正会員・賛助会員より合計7名が参加し、グループ作業を通じてPCM手法を用いたモニタリング・評価手法を修得した。

 住民参加型の開発手法として活用されているPCM(project Cycle Management)手法にプロジェクトマネジメントの要素を取り入れ、「Plan‐Do‐See」の一連の流れからプロジェクトの管理手法を修得できる研修を目指している。今回の研修は、その中のモニタリングと評価に関する手法について農業農村開発の演習事例を用いて行った。

 ほぼ全ての参加者が、本研修を研修に対して期待通りであったとの回答を寄せており、研修に対する評価は概ね良好であった。研修最終日に実施した理解度確認テストの平均は91点であり、理解度の高さを示す結果となった。また、研修期間、時間配分については、参加者の意見が分散しており、今後一日の時間を長くする、期間を短縮するなど改善が必要だと思われる。

ADCA通常総会・理事会の開催

 2007年5月25日にADCAの第57回理事会、第31回通常総会が開催され、新役員が選任された。続いて第58回理事会が開催され、会長、副会長、専務理事が互選された。

 総会終了後には、懇親会が開催され、JBICの篠澤総裁、JICA松本理事から来賓のご挨拶を頂いた。懇親会には80名以上の方々に参加して頂くことができ、関係者間の交流を深める有意義な場となった。ご多忙の中御出席頂いた皆様には感謝申し上げます。

なお、新役員(任期2年)は下記のとおりです。

     職 名
  氏 名  
新 / 再任
会 長
佐藤 昭郎
再 任
副 会 長
久野 格彦
再 任
専 務 理 事
安村 廣宣
再 任
理 事
小島 莊明
再 任
理 事
高橋 修
再 任
理 事
多賀 正義
新 任
理 事
望月 久
新 任
理 事
横澤 誠
再 任
監 事
梅川 治
新 任
監 事
大堀 忠至
再 任

個人賛助会員のお願い

 ADCAでは、より効果的・効率的に海外農業開発協力を推進するため、国民各層がその技術や知見を活かすことができるように、また援助活動への参加や開発途上国との交流が促進されるように、国民各層との連携を強化していきたいと考えています。

 そのため、ADCAが持つ情報やノウハウの提供を通じて、一緒に考えそして行動して頂ける個人賛助会員の募集を始めることに致しました。

○ 個人賛助会員の目的

 ADCAは、海外農業開発に関するプロジェクト創出のための技術調査を行うとともに、海外農業開発事業に参加するコンサルタンツ企業及び団体等に対する指導、助言並びに当該農業技術者の資質の向上に資する事業を行い、もって海外農業開発協力の効果的な推進を図ることを目的としています。

 個人賛助会員は、このADCAの目的に賛同する個人を対象に、情報の提供及び資質の向上に資する事業を行い、もって海外農業開発協力の効果的な推進を図ることを目的にしています。

○ 個人賛助会員になるためには

ADCAの目的に賛同する者で、所定の様式による申し込みをした者は、理事会の承認を経て個人賛助会員となることが出来ます。

○ 個人賛助会員の特典

・ ADCAが主催する講演会等への参加

・ 「ADCAニュース」の配布(現在、年2回)

・ 「ADCAメールマガジン」の配信(現在、年6回)

○ 年会費

年会費は5千円です。

 ADCAニュースの読書の皆様におかれましては、以上の趣旨をご理解頂き、個人賛助会員として海外農業開発協力の推進にご協力いただければ幸いです。

(お申し込み・お問い合わせはADCA事務局までお願いします)

          

青年会議だより
青年会議勉強会 2007年5月29日

 (株)国際マネジメントシステム研究所代表の花田重義氏をお迎えし、「地球温暖化対策とCDMについて‐海外農業開発との関連‐」と題した青年会議勉強会を開催しました。勉強会では、以下の内容について講師より説明があり、その後、意見交換が行われました。

1. 地球環境問題の現況

 気候変動に関する政府間パネル(IPCC)による予測シナリオでは、今後20年間に10年当たり約0.2℃の割合で気温が上昇するとされている。また、21世紀末には“環境の保全と経済の発展を地球規模で両立する社会”となるシナリオでは、世界平均地上気温は現在より1.8℃上昇し、“化石エネルギーを重視しつつ高い経済成長を実現する社会”のシナリオでは4.0℃も上昇するとされている。気温が2℃上昇するということは、地理的には緯度方向(南北)で約300km移動するのと同等であり、このような急激な気温の変化に地上の植物相の遷移は追随できない。

地球環境問題は温暖化以外にも様々なものがあるが、温暖化問題とは、空気中の二酸化炭素(CO2)をはじめとする温暖化ガスの増加による気温上昇が原因となって引き起こされる諸問題を指す。

・ 異常気象(気候変動)→洪水、干ばつ、砂漠化

・ 50〜100cmの海面上昇→低地の水没(40カ国)

・ 熱帯性疾患の北上   等

2. 地球温暖化対策

 地球温暖化対策とは、IPCCの報告を受け、気候変動枠組条約締結国会議(COP)で行動目標を掲げている環境問題対策である。1997年に開催された第3回締結国会議(COP3)で各国のCO2の排出基準の数値目標が京都議定書として採択され、2005年12月に正式に発効となった。加盟各国は2012年までに1990年比の-8%〜-6%程度のCO2削減を目標としており、途上国や中国には目標値が設定されていない。

 この排出権削減クレジットが、排出量取引(ET)、共同実施(JI)、クリーン開発メカニズム(CDM)などの枠組みの中で発効、取引されることになっており、既にEU圏内では2005年からETSという排出権取引システムが稼動している。

3. 海外農業開発とCDM

 温暖化ガスにより気温が上昇することで、地域の作物生産性に影響が現れる。世界的には、平均気温が1〜3℃の幅で上昇すると食料生産ポテンシャルが増加すると予想されているが、それ以上上昇すれば減少に転じると予測されている。地域別には以下の傾向がある。

・ 低緯度地域・・・1〜2℃の上昇でも乾期のある熱帯地域で作物生産性が減少すし、飢饉のリスクが増加する。

・ 中緯度〜高緯度地域・・・1〜3℃までの上昇であれば、作物によっては生産性がわずかに増加する。

 また、食料生産地域が変化することにより、既存の生産インフラが活用できない事態が発生する可能性も生じる。

 一方、CO2排出削減の可能性を持つ緩和策として、農業部門による土壌内炭素吸収量の増加や、バイオエネルギー利用による温暖化ガスの排出削減への貢献などが期待されている。

 今後、我が国のCDMプロジェクトによる途上国への資金の流れは年間数十億ドルのレベルに達する可能性があり、エネルギーを目的とした開発援助資金に匹敵する可能性が高い。しかし、世界的に見ても現在までのCDMプロジェクトは発電系のプロジェクトが多く、CO2よりも効率的なHFC23、N2O、CH4を削減ものが大半を占めている。


Copyright2001(C) Agricultural Development Consultants Association. All Rights Reserved.