No.84 2008.1
もくじ
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●●●寄稿●●●
●●●プロジェクト紹介●●●
●●●ADCA活動報告●●●
●●●青年会議だより●●●
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寄稿
農業開発の潮流と我が国による国際貢献について

北田 裕道

(国際協力銀行 開発セクター部 調査役)

1. はじめに

 開発途上国では貧困人口の約75%が農村部に居住し、多くの労働人口を抱えているものの、所得機会に恵まれず生計は不安定である。また、農業は基幹産業に位置づけられているが、依然として低生産性・低収益であるため、食料安全保障の観点からも、経済発展の不安定要因となっている。

 農村部は社会・経済資本整備の遅れや他産業が成長せず、都市と農村との格差が拡大しており、所得機会を求める農村人口が都市へ流入し、スラム化等都市での貧困化を誘引している。

 一方、援助の世界において、農業開発分野の必要性は認識されるものの、時間・労力を要する案件形成とコストパフォーマンスの低さから一時敬遠される傾向にあった。しかし近年は農業がpro-poor growthの原動力となっている他、農村人口の大部分が非農業セクターへ適応できておらず、農業への投資が貧困削減に不可欠な要素となっているなど、農業開発の貧困と成長に対する役割が見直される状況にある。

2. 開発途上国の農業開発課題に対する取組み

 経済発展のボトルネックとなっている農業開発課題に対して、開発途上国の多くは積極的な取組みを講じようとしている。その取組み手法は各々の政策目標やMDG達成のために、農業開発課題へ単に対処するものではなく、非農業セクターの水需要にも対応できるよう、流域単位で如何に水資源管理を達成・成立されるべきかという包括的な対処アプローチの中に農業開発課題も位置づけている。つまり、農業・農村が抱えている開発課題は、以前のような薬剤投与的な目先の延命措置ではなく、あらゆる観点から対策を講じて大手術を行なければならないほど、危機的状況にある表れと捉えるべきである。

 今年度、水問題を議論した東南アジア水フォーラムやアジア・太平洋水サミットでは、各開発途上国は我が国以上に統合的水資源管理に取り組む姿勢を前面に打ち出しており、各援助ドナーへ対しても、これまでのような施設整備を中心とした支援のみでなく、参加型アプローチに維持管理強化やモニタリング体制の整備など、ソフト面や事業管理面への支援に移行しつつある。


3.我が国の農業開発協力の現状

 昨今、農業開発分野においては、貧困削減や食料の安全保障を重点課題として位置づけ、農業生産性向上のためのかんがい施設や農道などのインフラ整備、農業生産技術の普及、住民組織の強化などを中心とした支援を実施し、大抵の案件では事業目標として、「農業生産性の向上」「農業所得の向上」を掲げている。

農業開発業務に携わり、様々な実施案件を見て感じることは、これまでの既往案件は一義的には事業目標は達成しているものの、援助対象国の持続的な農業生産活動の体制構築にどれだけ貢献できたのかと考えさせられることが多々ある。

確かに農業生産活動というものは自然条件や天候に大きく左右されるものであり、人為的な制御・抑制に及ばない側面を有している。これに加えて途上国の場合、人口増加、水資源の不足、砂漠化の進行、民族・宗教的な慣習・摩擦等といった要因により、農業問題は多様化・複雑化している。

このような状況下で、我が国の農業開発分野における援助協力はODA予算の削減、援助改革の潮流に巻き込まれながら実施されているが、開発途上国のニーズ、グローバル化する水問題、食糧安全保障などの課題解決に向けて、技術協力や無償資金協力などと有機的な連携を図り、より戦略的な援助・外交ツールとして進化を遂げなければならない時期を迎えている。

4.求められるもの、知り得ていないもの

 今後、円借款事業は新JICAへ組織統合されていくに当たり、様々なスキームを活用した幅広い援助アプローチへ有機的に組み込まれると承知しているが、ことに農業開発分野はJICA・JBICの援助手法とも「住民による参加型アプローチ」という基本理念が共通しており、統合後のシナジー効果が一層期待される分野の一つと言える。

しかし、開発課題が多岐に渡るこの分野において、事業の案件形成を担うJICAやJBICにおいては、我が国が開発途上国に対して貢献できる知見・経験、各援助スキームの特徴及びこれらの有機的かつ有効的な組合せ等を把握・判断できる実務的な能力が欠けている印象を受ける。また援助機関として不足する能力を補完するため、コンサルタント等外部リソースの活用が望まれるが、必ずしも有能な人材を多く抱えているわけではなく、行政・政策立案に関して欧米のコンサルタントのようには精通していないのが実情である。

農業開発分野のターゲットは、“自然”と“人間”という一筋縄では言うことを聞かないものを相手としている。どんなに立派な政策・事業を実施しても、速効的に効果が発現されるものではなく、裨益する者に対しても通り一辺倒のことだけを求めることはできない。また、この分野の成功は援助機関と相手国実施機関との関係以上に、農民の意識改革を図り、信頼醸成がなされた上で成立する。

これらを踏まえると、我が国には開発途上国の援助ニーズに対して、資金協力と連動して、得意分野とする技術協力を通じた人的貢献の有効性を担保するため、多様な知識・経験、柔軟に判断力を備え持つ援助人材を育成するとともに、ある程度の時間的な猶予期間を設けた援助アプローチが必要と考える(言い換えると、粘り強いコミュニケーション能力を持つ人材確保と資金協力を有効化とするソフトコンポーネントの活用がキーである)。

5.日本の型

 他方、我が国における農業開発は古くは紀元前3〜8世紀の水田開発まで遡り、自治的管理は荘園制度が始まる9世紀に導入され、その歴史的変遷の中で、行政と農民或いは農民間での土地・水の利権争いが繰り返され、現在の農業構造が確立している。このような歴史経緯の中で、我が国は開発途上国が抱える課題解決の糸口、見本となり得る参加型アプローチ手法を自然と身につけてきたといえる。

 一方で開発途上国はあくま

で“日本としての援助”を期待している。このような我が国の歴史背景・ODAの教訓を踏まえ、農業開発分野において、どのように技術・経験を移転していくべきか、官民が相互の知見・経験を共有・連携させ、オールジャパンとしてのアプローチを確実に実践すべき時期を迎えつつある。

6.最後に

 開発途上国側と協議した際、「我が国の農業開発分野における援助協力に何を期待しているか」と問うと、単に資金活用との回答も多いが、我が国農業関係者と実務を共にした者からは、「日本人の繊細かつ多面的な物事の捉え方を学びたい」という声が多く聞かれる。

 例えば、灌漑施設を建設するにしても、土木技術の面ではたいした優劣の差を感じはしないが、事業計画性やスケジュール・品質管理など、現地の人間では普段何でもないと思うことを、日本人は気にしている。そして、相手の考えを熱心に聞き、時間を気にせずお付き合いをする。このような考え方(技術)が援助協力を通じて、カウンターパートに伝わっているのも事実である。

 そして、農業というのはいわゆる“生き物”。どんな環境で、どんな餌を与えるか、世話の仕方によっては、長生きもするし、元気もなくす。我が国の農業開発協力も約半世紀が経過しているが、相手国と長く付き合ってきたことで日本型の最良の援助手段・姿が見えてきているのではなかろうか。

写真1.改修予定の水路(インド アンドラ・プラディシュ州   写真2.新規導入されたパイプ灌漑          写真3.改修予定の水路橋(パキスタン マンセラ灌漑事業)

 灌漑・生計改善事業)                         (チュニジア 北部地域導水・灌漑事業)

 
   
         


プロジェクト紹介
タイ国 農地改革地区総合農業開発事業

                                                      

調査の背景                                                          

 東北タイでは、1950年代より輸出作物としてトウモロコシ、キャッサバおよびサトウキビの商品作物の単一栽培が拡大してきた。しかし、化学肥料や農薬の投入が必要な上、年1回の収穫から得る収入は不安定で、多くの農民は貧しく多額の借金を背負っている。また、同地域の土地は痩せていて水資源も不足しており、天水に頼る不安定な農業だけで生計を立てることは困難である。そのため、多くの農民は乾季に出稼ぎのため街へ出ている。

 農民の生活向上のためには、商品作物生産と同時に、自給のための農作物を生産し、畜産や養魚を行う総合農業(又は複合農業Integrated Agriculture)が必要だと考えられる。総合農業では家畜糞や作物残渣からの堆肥で土壌改良するため、循環型の持続可能な農業にも繋がる。

 以上の背景から、タイ政府の要請を受けた国際協力事業団(JICA)は1996年〜1998年に東北タイ北部の農地改革地区(LRAs)4県を対象に開発調査を行った。同調査では、総合農業を普及するためには、個人農地のため池、農道および小規模灌漑施設の建設、農民の組織化、低利融資の支援が必要と結論付けられた。この結論を受けて、タイ政府は日本政府に36億円の事業費にかかる円借款の要請を行い、農業・協同組合省農地改革局(ALRO)を実施機関、三祐コンサルタンツとローカルコンサルタント3社の共同企業体をコンサルタントとする本事業が、1999年1月から開始された。

調査地域の現況

 本事業の対象地区は、東北タイ北部に位置する、コンケン、マハサラカム、サコンナコン、ムクダハンの四県にある農地改革地区から選定された、合計48,000ヘクタールの優先地区で、受益地区農家は約2万世帯である。

事業目的

 本事業の目的は以下のとおりである。

(1) 農地改革地区農家の生活水準向上

自給率を高めて支出を減らし、また年間を通して現金収入を得ることで生活水準の向上を目指す。そのための総合農業に必要なため池、農道等の建設を行う。

(2) 農地改革地区と隣接保護区の環境保全

農地改革地区内及び周辺の森林の保全および水土の保全を行う。

事業内容

 上記の事業目的を達成するために、農業基盤整備だけでなく、農民組織化や農業普及等を行っている。以下が主な事業内容である。

(1) 農民組織化と農民ネットワーク強化

・農民の組織化:既存の農民組織の強化および新たな農民組織の設立と強化を行った。

・農民ネットワークの組織化・強化:農民個人や農民組織の繋がりを強化し、知識・技術の交換を促進した。各県に農民ネットワークが設立され事業終了後も総合農業の普及や森林保全活動を継続する。

(2) 農業基礎インフラ整備

・個別農地用ため池の建設:総合農業を行うためのため池を約4,000箇所で建設した。また希望する農家400世帯においてため池の拡張工事を実施した。工事費の一部は農民により負担された。

・共同ため池の建設:23の共同ため池を建設した。乾期の牛飼育や養魚、干ばつ時の灌漑や生活用水に利用されている。

・農道の建設:農地や幹線道路へのアクセス改善のため、合計800kmの農道を建設した。

・新規水源開発と小規模灌漑施設の建設:灌漑可能地区では河川に小規模な堰やポンプ施設の建設を行い、合計660 haを灌漑した。

・マイクロ灌漑の推進:ため池の水利用効率化と作付け拡大を希望する農家1,600世帯に対し、スプリンクラーやドリップ灌漑の設備を供与した。

(3) 総合農業の普及

・農業研修の実施:作物栽培や農産加工の研修・視察を実施した。合計12,000人の農民が参加した。

・総合農業の普及:農民から農民への普及を推進するため、先進農家60世帯を農民の学習センターとした。

・農民への融資:牛購入、ため池の拡張、マイクロ灌漑の設置、農業資材の購入等に対する融資を農民に対して行った。合計7,000万バーツ(2億5,000万円)が融資された。

(4) 環境保全

・環境保全研修:土壌・水保全、森林保全等の研修を実施し、農民に苗木を配布した。合計2,200人の農民が研修に参加した。

・共有林の保全:共有林管理ボランティアの育成と森林火災防止活動の支援を行った。また、農民グループによる有用在来樹種の苗木作りを支援し、農地への植林も普及した。

・土壌保全:微生物を用いた堆肥や緑肥を普及させ化学肥料の使用を減少させた。

(5) コミュニティ・マーケットの普及

・コミュニティ・マーケットの開催:8つの村においてコミュニティ・マーケットの設立と活動の支援を行い地産地消を推進した。

・無農薬有機野菜の普及:郡病院と協力して産直市場を開催し無農薬有機野菜や地元の食材の販売を促進し食の安全性確保と健康増進に寄与した。

事業の特徴

(1) 農民参加と学習プロセスの重視

先進農家が講師となり農民同士が学びあう農業普及を行っている。また、農民ネットワークやグループで農民自らが問題を話し合い、行動計画をつくるよう持続的な学習プロセスを支援している。農業基礎インフラについても、計画段階からコミュニティが参加し、一部工事費を農家が負担するなど農民参加を重視した。

(2) 地域の資源と地元の知恵の活用

農家が地域の資源を用いてジュース、織物、石鹸等を作ることによる、コミュニティ内での自給を目指している。現金支出を抑え、地域の資源と地元の知恵を活かした質的に豊かな生活を目指している。人々が果実や野草など森の恵に依存している地域では、農地に森林を作り出す試みも行っている。

(3) 住民主体による環境の保全・修復

森林の荒廃の原因でもある開墾によって拡大してきた農地改革地区農地において、住民自らが土壌を改良し保全林への植林や地区内に残る共有林の保全・修復を行うことで環境の保全と修復を行っている。農民ネットワークや地域の学校との連携を通じての次世代への環境教育や森林調査など地域活動を支援している。

(4) ローカルNGO・地域の大学との連携

事業地区の一部では、事業開始以前からNGOが総合農業の普及と農民ネットワークの形成を行っていた。本事業でも、NGOとの連携により総合農業の推進および農民ネットワークの形成を行っている。またコミュニティ・マーケットのアクション・リサーチや総合農業・参加型森林管理などの研修において地域の大学と連携を行い、事業終了後も農民グループが支援を得られるよう地域の機関とのネットワークを築いた。

事業の効果

 ため池等の建設が完了し2年が経過した時点での評価調査で以下のような効果が確認された。

(1) 総合農業の普及による生計向上

総合農業を実施する農家は2001年に839世帯であったのが、2007年には3,719世帯まで増加した。また、総合農業から収入を得ている世帯における総合農業からの収入は、2000年に3,760バーツ/年であったのが、2007年には7,935バーツ/年まで増加した。総合農業の普及は、自給自足の達成に貢献しているだけでなく、コミュニティ・マーケット等を通じて生計の向上へも貢献している。

(2) 水資源の確保による生活の変化と人間関係の改善

雨季に十分な水が入手できる農家は2000年に66.7%であったのが、2007年には91.2%にまで増加した。乾季にも十分な水を得ている農家は、32.0%から56.3%まで増加した。乾季にも農業を営めるため出稼ぎに行かなくなった農民からは、家庭やコミュニティでの人間関係が良好になったとの声があがっている。

(3) 有機肥料の使用による自然環境の改善

 化学肥料のみを用いている農地面積が47.6%減少し、有機肥料のみを用いている農地面積が64.9%増加した。また、化学肥料を併用している面積を加えれば、有機肥料を用いている農地面積は108.9%も増加している。農民からは、土壌が改善されただけでなく、かつて豊富に生育・生息していた自生の動植物が、農地とその周辺に戻ってきたとの声が多くあがっている。

むすび

 本事業は、円借款事業としてはユニークな試みとしてソフト面に重点を置いている。様々なアクターが関わるコンポーネントを有機的に連携させたプログラムアプローチによって農民の自立と地域の持続的な発展に寄与すると期待される。

    

図 事業対象の東北タイ4県         写真1.ため池を得て、乾期でも様々な野菜、果物や魚   写真2.有機産直市場を通じて安全な食を提供し、農家

                            を自給できるようになり家族と一緒の時間も増えた。      の収入も増えた。             

                   
      
                      

                                                                                                                              


 
ADCA活動報告
平成19年度PCM手法モデレータ/ファシリテータ養成研修

 平成19年7月9日から7月11日の3日間に渡り、平成19年度PCM手法モデレータ/ファシリテータ養成研修を開催した。モデレータ/ファシリテータには?国際マネジメントシステム研究所の花田重義氏をお招きした。本研修にはADCA正会員・賛助会員より合計5名が参加し、モデレータ/ファシリテータの講義と実演を通じてPCM手法を用いたモデレータ/ファシリテータの技術を修得した。

 開発調査や評価調査ではPCM手法の理解だけではなく、特に参加型計画立案においてモデレータ/ファシリテータとして参加者から意見を聞きだし、合意を形成するための技術も必要である。本研修では、PCM手法を用いたワークショップを実施する際のモデレータ/ファシリテータ技術を修得することを目的としている。

研修では、ADCA作成のテキストを用いてファシリテーション技術の講義と、受講者がモデレータ/ファシリテータとなって農業開発に即した演習事例に沿って実演を行い、参加者から意見を聞きだし、合意を形成する技術について修得した。

 

 研修後に行ったアンケート調査によると、参加者の全員がモデレータ/ファシリテータの技術について「よく理解できた」、また研修に対しては8割が「期待通り」と回答している。さらに、今後仕事にも活用できるとの回答を寄せていることから、本研修は受講者の期待に答え、有効であったことが示される。また、受講者数が少なかったため、1人当たりの演習時間が長くでき、その際ビデオ撮影して客観的にチェックするというメリットがあった。

 前回からの改善としては、計画・立案の復習を兼ねてPDM作成に時間を充ててから本題のモデレータ/ファシリテータ研修を実施した。

 一方で、テキストや演習について検討を要望する意見も挙げられており、今後、これらの意見を検討して次回の研修内容へ反映させていきたい。

                                          

                               

ADCA講演会の開催

 6月26日にJICA農村開発部長 松田 教男氏をお招きし、「平成19年度JICA農村開発部事業概要」について講演頂いた。

 講演では、最近のODAを取り巻く情勢とODAにおけるJICAの農業・農村開発協力の実績と傾向が示された。また、平成20年10月に予定されているJICAとJBIC統合に向けての準備状況及び統合後の課題部の役割等についても説明があった。

 

農業農村開発戦略検討調査 ラオス現地調査

 ADCAでは農林水産省の補助金による農業農村開発戦略検討調査事業を平成17年度から開始した。本年度は、10月7日から14日までラオスへ調査団を派遣し、国際機関との連携を踏まえた農業・農村開発に関する経済協力の基本方針の検討に必要な情報を収集した。

 我が国のラオスへの援助は、二国間援助では1991年以来第1位のシェアを有しており、その援助額は年間75〜90百万ドルである。以前は無償資金協力が援助額の7割以上を占めていたが、近年では、技術協力が増加していて無償資金協力と同程度の援助額となっている。無償資金協力による援助では運輸・エネルギー等のインフラ整備を中心とし、技術協力による援助では、保健医療、教育、農業・農村開発を中心としている。

 本調査では、ラオス政府機関として農林省灌漑局、国際機関として世界銀行、アジア開発銀行、国連食糧農業機関(FAO)、メコン委員会及び日本の関係機関として在ラオス国日本大使館、JICAラオス事務所を表敬し、情報収集及び意見交換を行った。また、日本の無償資金協力が実施された「ビエンチャン首都郊外農業農村開発計画(KM6)」、「タゴン農業改修計画」、及びビエンチャン県北部でADBローンによって実施されている「Decentralized Irrigation Development and Management Sector Project」(進行中)、「Community-Managed Irrigation Sector Project」(完了)の現地を視察した。

 ラオス政府は、農業分野において、食糧の安定供給、商品作物生産の振興、焼畑農業の削減、森林資源開発を戦略目標として掲げている。現在、灌漑稲作・小規模灌漑の推進による焼畑の抑制、コメの増産に取り組んでいる。また、北部・南部地域での保健、教育、インフラ整備等を含め生計向上、少数民族対策等の貧困削減のための取り組みを実施している。一方で、タイ・ベトナム・中国等企業からの投資を積極的に誘致しているが、投資や貿易の分野での法の整備が進んでいないことが課題である。

 日本の技術協力・資金協力については、平成18年度に策定された対ラオス国別援助計画に基づいて協力を実施しており、「経済成長」と「貧困削減」に対して効果的な援助を実施している。

 貧困削減への協力は、無償資金協力による学校建設や病院建設等の社会基盤の整備を中心とした支援、技術協力では、農業農村開発、保健医療分野での人材育成を中心とした支援を実施している。特に低貧困地域である南部、北部地域への経済活動を伴った生計向上に繋がる支援に重点を置いている。

 一方、経済成長に対する協力では、ODA全体の援助額が削減される中、CLV国であるためラオスへの援助額の低減率は他の被援助国に比べると低いといえる。しかし、ODAのみではラオス経済発展への寄与は不十分であり、経済投資を呼び込む案件を推進していくことが必要とされている。例えば、東西回廊開通による周辺地域への民間投資を活用した経済効果に重点を置いた支援や、南部地域での外部資本による野菜栽培等の産業型の農業を発展させていくといった支援が考えられる。

 ドナー協調については、UNDPを中心に非公式ドナー調整会合が開催されており、非公式ドナー調整会合の親部会を始め、国家成長・貧困削減戦略(NGPES)の重点課題である8分野(教育、保健・HIV/AIDS、インフラ、村落開発・自然資源管理、ガバナンス、麻薬対策、不発弾対策、マクロ経済)に関し、作業部会が設立され具体的な政策協調、ドナーと政府機関との政策対話が推進されている。

                                   

 UNDPラオス事務所にて                                Napho Tai地区:Decentralized Irrigation Development and

                                                 Management Sector Project(DIDMSP)の視察。幹線水路と

                                                 奥が河川。

青年会議だより
青年会議勉強会総会

 ADCA青年会議は、11月に行われた青年会議総会で新幹事が選任されました。引き続き、新幹事を中心に貧困や環境問題など「農業・農村開発」に係わるテーマを取り上げた勉強会等を通じ、各会員の皆様に幅広い知識の習得と理解を深める場や有益な情報を提供し、今後の活動に貢献できるよう努力する所存です。今後とも、皆様方のご支援ご協力賜りますようお願い申し上げます。


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