2007年巻頭言集

No.82 2007.1  (社)海外農業開発コンサルタンツ協会   会長 佐藤 昭郎
2007年の年頭にあたって

ADCA会員および賛助会員ならびに海外援助業務に携わる政府および関係機関の皆様、新年おめでとうございます。年頭にあたり2007年が皆様方にとりまして良い年となるよう祈念いたします。また、旧年中のADCAの活動に対しまして一方ならぬご協力ならびにご支持を頂き、深く感謝申し上げます。本年も倍旧のご指導ご鞭撻を賜りますよう心からお願い申し上げます。

さて、2007年度予算の政府原案では、財政健全化、歳出削減に向けた取組みの中で、ODAは対前年度比4%の削減となりましたが、JICA予算は△1.2%と減少幅は少なく、有償資金協力を積極的に活用して無償資金協力を減額する、2006年度補正予算を加えて必要な事業量を確保する等メリハリの利いた予算案となっています。更に、アフリカなど6カ国に大使館が新設され我が国の外交力が強化されます。

皆様ご承知のとおり、昨年11月に改正JICA法が成立しました。海外経済協力会議および外務省を中心として戦略的なODAが企画・立案され、新JICAは技術協力、有償資金協力、無償資金協力の総合実施機関として体制が構築されることになりました。2008年10月に予定されている新JICAの発足に向けて、統合の効果を最大限発揮できるように、技術協力、有償・無償資金協力という3つの援助手法の特色を活かしながらこれらを有機的に組み合わせて実施するための業務のあり方、組織のあり方等が政府、与党をあげて議論されています。

コンサルタンツは、途上国援助において蓄積した知見を基に途上国の発展に必要な技術やノウハウの提供、人材の育成や組織の強化等極めて重要な役割を果たしてきています。新JICAが、ODA実施のパートナーとしてコンサルタンツの重要な役割を尊重しコンサルタンツの能力が十分に発揮できるような援助機関となるように期待しています。ADCAとしては関係団体と連携して意見を申し述べるとともに、新JICAが具体的にどのようになるのか注視していきたいと思います。

援助関係者の中でコンサルツは、技術力と総合力において他を抜きん出ています。ODAへの参加が見られるようになったNGOや大学関係者の中にも高い技術力を持った専門家の方もいますが、コンサルタンツに価値があるのは自然科学系の技術的能力と社会科学系のソフト系能力を兼ね備えて様々な分野に精通し、実際に責任を持って具体的な案件の結果をきちんと出せる能力だと思います。会員の皆様方が新たな分野にも自在に対応できるように研鑚を積み重ね、切磋琢磨して益々ご活躍することを期待いたします。

ADCAが世界の新たな動きに的確に対処し、かつ日本のODAの推進にこれまで以上に寄与できるよう関係者の皆様および関係機関とも協力しながら2007年が有意義な年となるように活動していきたいと思います。

平成19年1月


No.83 2007.7   独立行政法人国際協力機構 農村開発部長 松田 教男
国際協力に関わる事業環境の変化とADCAの役割

 ADCA会員及び関係者の皆様には日頃より私どもJICAの活動に多大なるご協力を頂き、誠にありがとうございます。

 さて、皆様ご承知のとおり2008年10月をもってJICAはJBICの海外経済協力部門と統合して、技術協力、有償資金協力及び無償資金協力の統合的実施機関として生まれ変わることになります。このことに対し、国内的には、ODA予算そのものが増えない中、これまでのスキーム間連携といった視点ではなく、日本の持てるリソースの一体的運用により、更には他のマルチ・バイのドナーの資金等も取り込んで、より少ない投資でより大きな成果を達成することを期待されているといえます。他方、国外の主要なドナー国・機関や途上国政府からは、巨大な新生JICAは何をしようとしているのか、何が変わるのかと、大いなる関心と期待を持って注視されております。

 こうした状況もあり、援助の上流部分、特に協力準備段階において、相手国側政策との調整や他ドナーとの援助協調を意識しつつ、重点開発課題に対するオールジャパンでの戦略的協力プログラムの形成、中期的ローリングプランの作成等がより重視されることになります。このためには、各国の重点開発課題(セクター)の現状分析、過去の協力成果のレビューや、将来の協力ニーズや他ドナーの援助動向の分析等に基づく包括的なアプローチが必要になるわけですが、こうした部分での開発コンサルタント等の役割も重要であり、ニーズはかなりあると考えられます。

 また、人間の安全保障、貧困削減、環境・ジェンダー配慮やキャパシティ・ディベロップメントといった視点をプログラムやプロジェクトの形成、実施に反映させることはもちろん、SWAPs等の援助協調や一般財政支援方式への対応など、JICAとその関係者に求められるものはより高度かつ多様になってきています。

農業・農村開発分野においては、農業、畜産業、水産業といった産業開発の概念から、教育、保健衛生、社会インフラ整備等、コミュニティ・エンパワーメントを含む「農漁村地域の開発」という包括的な概念への重点シフトが行われるとともに、経済活動のグローバル化に伴い脆弱な途上国農業・農民が蒙る悪影響の排除や、食糧安全保障と競合するバイオエネルギー開発のような課題への取り組みも求められるようになってきました。

このような状況の中、ADCAの会員をはじめとする開発コンサルタントの皆様には個々の分野の技術力に加えて時代のニーズのマッチした総合力が求められています。他方、伝統的な農機具、生活改善運動や、参加型水管理組織、近年のアセット・マネージメント技術等、日本特有の農業・農村開発の経験、知識も活用しつつ、中央・地方政府関係者等の意見や置かれた状況を尊重しつつ彼らの意識改革を促す、住民やコミュニティにも直接届き結果が見えやすい協力を目指すといった、日本らしさを生かした協力も忘れてはならないものでしょう。

JICAとしましては、日本の国際協力の重要な担い手としての皆様方に、上流から下流までより多くの仕事の機会を提供することに引き続き努力いたします。ADCA会員の皆様方におかれましても、国内外の事業環境の変化や新たなニーズに対応した人材の育成・確保、組織対応力の強化に努めていただければ幸いです。

 平成19年7月


Copyright2001(C) Agricultural Development Consultants Association. All Rights Reserved.