2007年巻頭言集

No.84 2008.1  (社)海外農業開発コンサルタンツ協会   会長 佐藤 昭郎
2008年の年頭にあたって

 ADCA会員および賛助会員ならびに海外援助に携わる政府および関係機関の皆様、新年おめでとうございます。

年頭にあたり2008年が皆様方にとりまして良い年となるよう祈念いたします。また、旧年中のADCAの活動に対しまして一方ならぬご協力ならびにご支援をいただき、深く感謝申し上げます。本年も倍旧のご指導ご鞭撻を賜りますよう心からお願い申し上げます。

さて、本年は5月にはTICAD?(第4回東京アフリカ開発会議)、7月にはG8洞爺湖サミットが相次いで開催されるなど、日本の外交にとっても非常に重要な年です。サミットでは、世界経済、政治問題の他、環境・気象変動及び開発・アフリカが主要テーマとして議論される予定で、環境立国日本としてリーダーシップを発揮するとともに、2015年までのミレニアム開発目標(MDGs)達成に向けて強力なメッセージを出すことが期待されます。10月には国際協力機構(JICA)と国際協力銀行(JBIC)の円借款部門が統合され、総合的な二国間援助実施機関である新しいJICAが誕生いたします。一方、昨年末に発表したOECD開発援助委員会(DAC)の試算によれば、1990年代から2000年にかけて10年間首位でその後順位を落とし2006年には3位となった日本のODAは2010年には6位になる見通しであるとのことです。

このような状況の中、日本がこれまで以上に国際社会においてプレゼンスを高め課題に適切に対処するためには、開発援助についてもODAの質を高めるとともに、一層の効率化が求められ対象地域や分野を絞り重点化することが必要です。

世界銀行の世界開発報告2008では、極貧と飢餓と苦しんでいる人々の割合を2015年までに半減するというMDGsを達成するにあたって農業はきわめて重要な開発手段であり、開発のための農業という課題をうまく実施していくためには適切なインセンティブと投資、農業統治の改革、国際社会の協調行動が必要であるとしています。

本年はADCAにとっても国際社会との連携と協調の中どのように農業農村開発協力を展開していくのか本当に試される年です。

会員のコンサルタンツ企業においては、その技術力と総合力を十分に発揮して新たな分野にも自在に対応できるように創意工夫を積み重ね、切磋琢磨して益々ご活躍することを期待いたします。

ADCAが世界の新たな動きに的確に対処し、かつ日本のODAの推進にこれまで以上に寄与できるよう関係者の皆様および関係機関とも協力しながら2008年が有意義な年となるように活動していきたいと思います。

平成20年1月


No. 85 2008.7     農林水産省農村振興局設計課海外土地改良技術室   室長  渡邊 光邦

農業重視の追い風の中で

 ADCA会員及び関係者の皆様には日頃より、海外農業農村開発協力に多大なるご尽力、ご支援を頂き、誠にありがとうございます。

 私、本年4月より農林水産省農村振興局設計課海外土地改良技術室長を拝命いたしました。これまでフィリピン、ラオスでのJICA専門家、旧経済局国際協力課での農業投融資、資金協力の業務を経験し、6年ぶりの海外関係業務となります。鋭意努力して参る所存でございますので、皆様からのご指導、ご鞭撻のほどよろしくお願い申し上げます。

 さて、近年、世界は「食料ショック」状態です。このような状況の中、5月に第四回アフリカ開発会議(TICAD IV)が開催され、我が国は、2012年にアフリカ向けODAを倍増する旨、表明するとともに行動計画を示し、本格的にアフリカ支援に向けて取り組む姿勢を世界へアピールしたところです。農業に関しては、灌漑面積を5年で20%拡大し、アフリカの米の生産を10年で倍増するなどの具体的な数値目標が示されています。また、6月には、ローマで食料サミットが開催され、アフリカだけではなくアジアを含めて世界各国が農業への投資を拡大することを求めた宣言がされました。さらに地球環境問題への取り組みを重要なテーマとする7月の北海道洞爺湖サミットでも温暖化、水問題とともに食料問題が重要議題として取り上げられる予定です。アフリカが国際的に脚光を浴びているのですが、アジアにおいても水と食料問題は大きな脅威となりつつあることを認識しなくてはなりません。食料の輸出国、輸入国問わず地球規模での農業重視の大きな追い風が吹いてきました。

ところで、今回、我が国は本格的なアフリカ支援の姿を見せたのですが、フランスだけではなく、アメリカ、EU、中国に加えてインドも対アフリカ戦略を打ち出し、4月には初のインド・アフリカ会議を開催しています。韓国でもTICAD IVの直前にアフリカ会議を開くなど、今、アフリカをめぐって熾烈な競争が本格化しているのが実情です。

このように多くの国が行うアフリカ支援・投資合戦の中、我が国の存在感を高めることのできるプロジェクトを戦略的に実施して行かねばなりません。「食料の安全保障」と「水資源の保全」の観点からアジア・モンスーン地域の代表としてどう対処すべきか、今こそ、これまでのADCAの会員をはじめとするコンサルタンツの皆さんが培ってきた技術、知見と経験、ノウハウの真価が発揮される時です。海外室も海外技術協力を戦略的に実施するため、この8月にINWEPF、ICID、WWCなど水に関する国際会議の窓口を担当することになります。この地球規模の環境変化に向けて「質」の高い農業農村開発をいかに打ち出すか、関係者の皆さんと一丸となって取り組んで行きたいと思います。

平成20年7月

 


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